Interview

出演者へのインタビューを順次公開します

それぞれのダンス観や公演への想いなど

ぜひご一読ください。

【第三回 菊池冴衣】


今回の振付家は菊池冴衣さん!

実は中止になってしまった卒業公演では、菊池さんと私の共同振付作品が上演される予定でした。

そんなエピソードも含めて、当時のこと、そして社会人になった今何を思うのか、話していただきました。お楽しみください! ※インタビュアー:女屋理音




——— じゃあまず、ダンスを始めたきっかけを教えてください。


ダンスを始めたきっかけ…バレエですね。




———何歳からやってるんですか?


5歳かな?小学校に入る前に始めた気がします。お母さん自身がバレエをやりたくて、でもやれなかったから、娘にやらせたくて。バレエ教室のチラシが入っていたから、体験に行って、私の許可を取らず(笑)、入会しました。それでダンスを始めました。


———大学で東京に出るまでずっと続けてましたか?


小学校卒業するときに大体やめるかどうかを決める人が多いじゃないですか、中学で部活始まるから。友達がみんなやめちゃって。

小学校6年間ミニバスやってたんですけど、きつすぎてやめたんです、6年生の、あと半年で終わるくらいで。そのままバスケやってたら、たぶん中高バスケ部だったと思うんですけど、でもやめたので、運動をダンスしかやらなくなってて。

中学のバスケ部は、小学校で一緒にやってた人たちも入るから、なんかちょっとなぁと思って、バレエを続けた記憶があります。で、なし崩し的に高校までやりました笑

高校で部活に入るのも意味わからないし、その時はバレエが楽しかったので。


———お茶の水女子大学を志望したきっかけは覚えていますか?


現役の時は全然違う大学を受けてたんです。浪人しますってなってようやく、私どこの大学行きたいんだろうなって考えました。現役の時は偏差値だけで決めてて、でも落ちるだろうなっていう大学を受けてて。


———大学ではダンスをやりたかったんですね?


ダンスやりたかったですね、せっかく高校までやってたから。

でもなんでお茶大に行き着いたのかさっぱり覚えてないんです。たぶんネットでなんとかして行き着きました。「大学ダンス」とかで調べて。それでもう、見つけた瞬間にここだと思って決めた気がします。


———入学まではずっとバレエで、大学入ってから創作ダンスに出会ったと思うんですが、カルチャーショックはなかったですか?


中学生、高校生の時に、スタジオで2、 3作品ぐらいコンテンポラリーダンスの作品に出たことがあって。これはコンテンポラリーダンスっていうよりモダンバレエだったんですけど。それで、コンテンポラリーダンスがどういうものかはざっくりわかってて、だからカルチャーショックとかはありませんでした。でも大学ではみんなダンスばっかりしてきた人たちしかいなくて、私以外そんな人見たことなかったので(笑)。中学でも高校でもそんな人いないし、そんな人がいっぱいいてすごいなって思いました。

(左:大学三年時All Japan Dance Festival in Kobe 出場時の写真、右:大学生活の一コマ)




———自分たちで作品を創るっていうのは初めてですもんね。


そうですね、それも初めてです。私は創作ダンス部でもなかったので。


———でもさえちゃんは結構作品を作ったんじゃないですか?


作ってないんですよ(笑)

私、モダンダンス部でしか作ってないの。


———そうか、初めて創ったの、モダンダンス部の群舞なんですね。


そう。なんで私が群舞を創ることになったんでしょうかね。元々モダンダンス部入ってなかったんですよ。


———そうですよね。モダンダンス部に入ったのが2年生の時で、そこからなぜか、最後の群舞をつくることになったと(笑)。


そうそう、おかしいんですよね(笑)。だからあんまり作品創ってないんですよ、私。


———ほんとですか?でもさえちゃんは、作品を創りたい人っていうイメージがあります。大学の後半は特に。


後半ね〜。せっかくだからと思って。


———デザインとか、ファッションとかが好きじゃないですか。だから舞台の創り方がすごい上手いなと思ってて。さえちゃんは、私の中で作者のイメージが強いんです。


3年モダン部、卒公が連続だったからかな。神戸も出ましたし。


———卒公でも作者やる予定でしたもんね。そうだ、神戸(大学ダンス部が創作作品を競い合う大会)出たんですよね。


神戸にも出ました。せっかくだからと思って。

でも、3年生の神戸は出るって決めてました。1年生の時に。

(写真:モダンダンス部公演より菊池作「コスモス」 HORI撮影)




———卒公で上演するって決めてたのは、どんな作品でしたか?


どんなでしたっけ、女屋さん(インタビュアー)?(笑)


———作者決めの時に、私はソロか群舞を、さえちゃんは小作品を創りたいって話になって、なんかよくわからないうちにドッキングしましたね。そもそも作品数が多かったんですよね。


そう、作品数多くて。なんで一緒にやろうってなったんでしたっけ。


———先にテーマ出したんですよ確か。それで、教授が、「ここはくっつけたらいいんじゃないんですか?」みたいな。そんなことを言われた気がします。


そうだったっけか…。私、そこらへんの記憶ぽっかり抜けちゃってるんですけど…。


あれは、もうちょっと頑張ればいけてた気がします。あの時は、「いやぁ、なんかもうこれどうしたらいいかわかんない」って思ってたけど、今映像見たら、良い要素がたくさんあるんですよ。


———さえちゃんの作品のコンセプトは、そもそも人間の肌が吸い付くみたいな、質感の話でしたよね。


そういうのが好きなんですよね。

人間がくっついてるのが好きなんです。見るのも、感覚も。


———私は、伸びる布が使いたくて。輪郭が曖昧になるっていうのがやりたくて。テーマ的には相性は良さそうでしたね。


あれは難しかったね〜


———2個のコンセプトをひとつの作品にするのはすごく難しかった記憶があります。


今思ったんですけど、女屋の布をもっと全面的に使ったら良かったんですよね。菊池作メンバーも布を使って、大枠を女屋のコンセプトにしたら良かったのかも。


———時間がなかったっていうよりかは、ちょっと捕われてたというか、頭が硬かったんですね。


そうそう。もっと、いろんな角度から見れば良かったんですよね。


———今回は、その作品をリクリエーションしてるということですが、コンセプトは、変わってますよね?


———正直、コンセプトとかわからなくなっちゃいました。創り方とかもわからないし、色々考えて、”良い!” とか、”かっこいい” と思う動きとか展開とか、シーンを、つなげたらいいんじゃないかっていうのに行き着いて。


———理論的に考えすぎるとわかんなくなりますもんね。


そう。それで、たまたま石にハマってたから、石がコンセプトになってます。


———今回の作品は、「もの派」を代表する現代美術家、李禹煥の作品から着想を得てるとのことだけど、もともと李禹煥は好きだったんですか?


そんなに深くは知らなかったんですけど、いろんな現代アーティストの展示会とかで何回か見たことがあって、おもしろいなと思っていて。空間自体が心地いいのが良いなと思って。


———今回のさえちゃんの作品は、質感ももちろんだけど、空間を作るみたいなことに重きを置いてる気がします。

確かに、かっこいいって重要ですよね。コンセプトとか思想も大事ですけど。


そう、今回卒公と違うのは、卒公は正直、「制作発表」みたいな気持ちだったんです。こういうのを作って、こういうことがやりたいんですっていう発表会。

でも今回は、ある程度のお金を頂いて、私たちももう学生じゃなくなって。来た人に、「楽しい」とか、「おもしろい」とか、思ってもらえるように。ダンスに精通してる人だけが来るわけじゃないから。私の友達とかは、ダンスを詳しく知らない人ばっかりなんです。

(NTMDメンバーには)ダンスが上手な人がいっぱいいるから、せっかくなら踊りで見せたいなって。

(写真:卒公時 菊池・女屋作品のクリエーション風景)




———卒公が中止になった当時のことは覚えていますか?心境とか。


いまだになんか、よくわかってないんです。卒公は確かになくなったはずなんですけど、あんまりわかってない。なくなったことが。元からなかったみたいな…。実感がありません。

もちろん残念でしたけど、周りの人(親とか友達)のほうが残念がっていました。


———卒業してから、何か変わったことはありますか?


変わった気がします。

ちゃんとしてないところは変わってないんですけど(笑)、会社に入ってから、ある意味ドライな考え方ができるようになりました。前は結構、自分が下に行く方が楽というか、例えば値下げ交渉をする時に、申し訳なさみたいな、人としてどうなんだろうみたいな。腰を低くした方が楽っていうのがあったんですけど、就職して、それはそれで違うんじゃないかって思い始めました。しっかり”対等”っていうのが、感覚としてついた気がします。

自分の主張を表明することの大切さというか。


———さえちゃんには予算とか組んでもらってるけど、その値段交渉とかも提案してくれましたもんね。


そう、仕事もそうですし、日常でもね。


———自分がやりたいことを伝えて、向こうからも返ってきて、それをすり合わせて答えを見つけるみたいな。


うんうん、そうですね。


———では、あなたにとってダンスとは?


みんなと遊べる口実。


———良くも悪くも私たちのつながりはそこでしかないからね。でも幸せなことだよね。


”遊べる”はちょっと違うのかな。会える。みんなと会える口実かな。

昨日思ったんです、神戸作品の練習しながら。メンバーのうち3人で朝集まったんですけど。朝から作品の話をして、ここの間がどうだ、とか、腕の角度が、とか、あーだこーだディスカッションして。変だなって思いました(笑)。でもすごく幸せだと思います。


———最後に、公演に向けての意気込みをどうぞ。


今回の公演は、集まってみんなでわーわー話して、ディスカッションして、踊って、自分たちが楽しいっていう中でできた作品群だと思うから。だから私たちが楽しんでる様子を見て楽しんでもらいたいなっていうのが一番あります。

ほんとに、全員と仲良いって最高だなって思いました。


———16人いて、グループとかないですもんね。


そう、ほんとに。その青春感をみてもらえるといいのではないでしょうか。結局そういうのが、一番感動しちゃうからね。


———人間ですもんね(笑)。今回の公演はそういうところが見どころなのかもしれないですね。私たちの繋がりとか。


うんうん、そう思います。



ありがとうございました!